【伝説の会員シリーズ】女装家のIさん

伝説の会員シリーズ

【伝説会員・Iさん】

40代男性・趣味は“女装”。でも本気で結婚したい⸻

パンダがこれまでに出会ってきた会員の中でも、
間違いなく“殿堂入り”する伝説の人がいる。

仮名:Iさん(当時40代後半)
プロフィール欄には、衝撃の一言があった。

「趣味:女装。理解ある女性と出会いたいです」

最初にそれを見たとき、正直、パンダの手が止まった。
ん?ってなって二度見。

理解ある…?女性と…?出会いたい…?
結婚相談所で???

ん?
女装に?理解ある女性?
結婚相談所で???

一旦Iさんを入れてきた営業担当に話を聞いてみた。

「この人大丈夫なやつ?」

「大丈夫というか…正直厳しいと思うって話はしてあります。それでもご本人が活動したいってことで契約しました。趣味以外はいたって普通の方です」

なるほど…

でも目は、本気だった

当時、パンダは30代前半。
現場をまとめる立場、いわば支店長的なポジション。

いろんな人を見てきたけど、
このプロフィールはなかなか見ない。
いや、見たことない。

担当仲人を紹介する前に直接話してみたいと思い最初の面談で正直に聞いた。

「…Iさん、本気で結婚したいんですか?」

Iさんはうなずいて言った。

「はい。女装は趣味です。でも結婚したいんです。理解ある女性と。」

目は真剣だった。

「これは難しい」と思ったのが正直な気持ち。でも本人はやる気まんまん。

てことでちょっと特殊なパターンなので仲人のアシスタント的なポジションでパンダもサポートすることにした。

パンダもプロだからね。
やると決めたら全力でやる。

“趣味:女装”でも、成婚を目指す。
これがパンダとIさんの挑戦の始まりだった。

初めてのお見合い

…しかし事件は起きた

初のお見合いが決まり、改めて伝える。

「最初はスーツで来てくださいね。
趣味の話は、相手と信頼関係ができてから少しずつ伝えていきましょう」
(女性にはちょっと変わった趣味のある男性ですとだけ伝えてあった)

Iさん「わかりました」

お見合い当日。
Iさんは時間通り、スーツ姿で会社に来た。

よし、ちゃんと来てくれた。
このまま何事もなく終われば…

そう思った矢先、Iさんがひと言。

「すみません、控室を少し借りてもいいですか?」

社内の待合室に入ったIさん。
いやもう嫌な予感しかない。
なかなか出てこない。

やっと扉が開いた瞬間——
嫌な予感的中

フル女装のIさん、登場。

カツラ、メイク、ピンクのワンピース、ヒール。
完っ全に仕上がってる。

いや、逆!!!
せめて女装で来てスーツに着替えてくれ!!!!!!

慌てて引き止めようとしたけど、Iさんの目は本気だった。

「どうせ言うんで。隠したって意味がないと思ったんです」

まぁ…言ってることは筋が通ってる。
でも今日、初対面…!!

仕方ない…女装のまま社内お見合いルームへGO。

ワンピースとワンピースの会話

お相手の女性は40代後半の、とても穏やかな方だった。

Iさんの姿を見た瞬間、一瞬まばたきをして…
こちらに笑顔を向けてきた(怖くて見れない)

ご紹介を終え退出。

そして約30分間、お茶を飲みながら会話。

外から見ればこうだ。

「40代の女性2人が、会社でゆったり談笑中」

でも実態は、

「ワンピースの女性と、ワンピースの男性の静かな戦い」

お見合い後、女性からの返答はこうだった。

「とても丁寧な方でした。でも、私には受け止めきれませんでした…」

当然といえば当然だけど、
女性の対応は本当に見事だった。
ありがたい。感謝。

彼のその後

このあともIさんは活動を続けた。
女装という趣味を一切隠さずに、あくまで正直に。

そして——

9年間、活動を続けた。

え、9ヶ月じゃないよ?
9年。

結婚相談所で、趣味を貫きながら、9年。

その間、何人もの仲人と関わり、何度もお見合いを重ね、
それでも成婚には至らなかった。

でも、彼の真剣さはずっと変わらなかった。

パンダが現場を離れても、彼の情報は逐一報告してもらってた。

「まだ頑張ってるよ」「変わらず自分を貫いてるよ」

なんかね、ジワっとくるよ。

最後にひとこと

結婚相談所って
いろんな背景や想いを抱えて、
それでも「誰かと一緒に生きたい」って思ってる人たちが来る場所なんだなと改めて思った。

Iさんは成婚できなかったかもしれないけど、
パンダにとっては間違いなく“伝説の会員”。

むしろ彼に会えたからこそ、
「仲人としてどう向き合うか」を深く考えることができた。

9年間、自分を偽らず、婚活を続けた男。
趣味が女装でも、本気で結婚を望んでいた男。

Iさん、今もどこかで元気にやってるといいな。

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